消費金融の歴史についての分析と理論展開
信用理論の進化、米国金融システムの特性
資本主義の中で、貨幣と資本が織りなす動態
消費金融の歴史についての分析と理論展開
信用理論の進化、米国金融システムの特性
資本主義の中で、貨幣と資本が織りなす動態
“Research on the Development of
Money and Credit Theory in a
Capitalist Economy”
産業革命を経て機械制大工業が普及すると資本主義経済はダイナミックな運動を展開するようになりました。
19世紀に明確にあらわれるようになった周期的な景気循環のなかで、現実資本(商品資本や生産資本)の蓄積に対し貨幣資本の蓄積が対抗的な関係を示すようになりました。このような現象が19世紀のイギリス、独占期(19世紀末から1930年代初め)のアメリカ管理通貨制度の時代(1930年代以降)においてどのように展開したかを研究しています。
"The Dynamics of Monetary
Capital and Real Capital in a
Capitalist Economy"
経済学の研究においては、経済事象の徹底的な観察が必要です。
それは、統計データや新聞や雑誌、議会報告、実務者の証言などあらゆる資料を駆使して、経済の実態を観察することを通じて行われます。
他方、経済学研究のもう一つの重要な側面は、これらの事実観 察とその理論化・体系化を行なった経済学者たちの学問的営為を研究することです。
事実観察と理論研究の絶えざる往復が経済学研究において必要な態度です。
このテーマでは貨幣・信用論の分野でそれを行っています。
“Theoretical Research on the
Characteristics of the U.S. Financial
System and the Development of the
Collateral System”
この研究テーマは、最初のテーマである貨幣資本と現実資本の動態に関する研究という問題意識を根底において進めているものです。
資本主義経済においては、金融資産の蓄積や金融取引の規模が商品資本や生産資本といった実物形態の資本に対して自律的に拡大していく傾向があります。
この研究では、両大戦間期から戦後にかけてのアメリカの金融システムのもとでこの自律的傾向が生じてくるメカニズムを銀行信用の拡張と担保の架空化という論点に絞って解明しようとしています。
“Historical and Theoretical Research
on Consumer Finance”
19世紀の資本主義における産業と金融の関係は、産業資本の活動と金融業・金融システムとの関係を基軸にして研究が進んできました。
しかし、20世紀においては、個人という経済主体の存在が非常に大きくなりました。
それは、自動車や家電製品、住宅といった耐久消費財が普及するようになったからです。
個人の消費行動に対する金融が、経済成長を支えたり、景気を左右したりという重要な役割を果たすようになりました。
このテーマでは、消費に対する金融の実態を解明しています。
これについては、編著『消費金融論研究』株式会社クレス、2011年において検討を行いました。